2005年11月5日

横浜トリエンナーレ

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横浜トリエンナーレ2005は、アートが本来持っている機能、その醍醐味を提示する3年に一度の大規模なアート・イベントです。しかし第2回の今回は、前回から4年がすぎてしまいました。そんなことはどうでもいいです。私は先週末行ってきましたので、気になったアーティストをご紹介します。

さわひらき
壁や家具など室内のあちこちに歩くラクダの影が落ちるという楽しいビデオ作品。以前の記事でも紹介したが、このアーティストの作品はメッセージが希薄に見える。しかし、よく観察すれば身近で限られた世界といえども、いかに広大であるのかを教えてくれる。「楽しみは手を伸ばせばそこにある」ということをその人間の個人の精神性の問題ではなく、物理的にも手に入れられるんだよと、そのコツを私たちに示してくれているのだ。

ボートピープル・アソシエーション
入口近くにある艀(はしけ)。海に浮かんでいるので波で揺れる。中に入ると船底は砂利敷きになっていて、ソファーがあちこちに置かれている。ソファーに座ると、見える外の景色は空だけ。ただそれだけなのだが、なんだか気持ちいい。波に酔って気持ちがいいのかもしれない。

前回、2001年の方が刺激でした。ピピロッティ・リストやフィオナ・タンの映像作品が面白かった。今でも心に残っているのは、オランダのファッション・デザイナー Victor & Rolf のファッション・ショーの映像作品でした。

私が Victor & Rolf のブースに入っとき、映像は最初からではなく途中からでした。スクリーンには黒服を着た女が写し出されていました。その女はほとんど黒目が無く、白目がやたら目立ち、上目遣いでこちらをにらみつけていました。黒人とも思えないのに、黒い顔、手、髪。着ている服も黒で、一見モノトーンの映像のようにも感じました。画面の女がカメラの前を通り過ぎると、別の女が同じようなすごい形相でこちらを上目遣いでにらみながら登場したのでぎょっとしました。しばらくの間なんの映像だか判らないままスクリーンを眺めていました。ファッションショーの光景だと判るまでに4人の女が画面を通り過ぎました。

ショーの様子を伝えるフレーミングは3、4カットのみ、BGMは4小節の旋律を少しずつ音量を上げてボレロのようにアレンジを変化させリフレインします。服は全てクラシカルな黒服で最後のウエディング・ドレスまで黒。黒なのは服だけでなく、皮膚、髪も黒、瞳も黒。会場の壁、天井まで黒。細い舞台とモデル達が登場する入口の周りは白で黒服を際だたせ、一方通行の舞台を歩くモデルは無表情で冷たく、キメのポーズはまるで能のように微妙で無駄が無い。すべてに行き届いてスキが無く、その厳しさは見るものを寄せ付けないどころか、観客など無視しているかと思うほど。これほどかっこいい映像は他に見たことありません。この作品はまた見てみたいです。

今日の写真 ~カラフル その10~
前回の記事で、最後といいましたが、あと2、3枚続けます。今回は、京都妙心寺(だったと思う)。カラフルなお寺の暖簾(なんていうのですかコレ?)

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カテゴリー:アート |  コメント (4) |  投稿者:hyodo

コメント

横浜トリエンナーレ、僕も先月友人の結婚式で上京したときに行ってきましたよ。
トリエンナーレなのに4年ぶり…もしかして中3年って意味なのか?と思ったりもしましたが、やっぱり遅れてたんですね。
ラクダのTrailでしたっけ、僕も一番のお気に入りです。
全体には、会場の建物も含めてやっぱり4年前のほうが楽しかった気がしました。

2005年11月6日 @ 4:24 PM


sakura

お正月に、京都の東寺ににいったら、こういうような布が壁まわりいちめんにかかってたことがある。日本もカラフルだね。この配色は日本文化。

2005年11月6日 @ 10:11 PM

taqujiさん、お久しぶり!
やはり、旅人はラクダに惹かれる?
さわひらき氏の作品で前に観た飛行機の作品も
旅人好みの作品でした。是非観てもらいたいです。
トリエンナーレは大変だから
クアトロナーレとかチンクエナーレに
(なんて言葉があるのか知らないが)
すればいいのにね。
sakuraさん、この布なんていうのだろう?
お寺にこういう原色のものがあると、
映えてキレイですよね。

2005年11月8日 @ 9:51 AM

[特集]ZAIM
もうひとつの横浜トリエンナーレ

横浜トリエンナーレ2005もフィナーレまであと10日余。予想を上回る約15万人(12月7日現在)の観客が、横浜港の真ん中に突き出た山下埠頭の会場を訪れました…

2005年12月8日 @ 9:38 PM

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