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2004年11月15日

ティルマンスのコンコルド

赤羽の自転車
先週、ヴォルフガング・ティルマンスという写真家のインスタレーションを観た。スタジオヴォイス誌等で繊細な印象のポートレイトや静物は以前より知っていたが、写真集が欲しいとまでは思わなかった。が、99年、私は写真集「Concorde」を六本木のABCで衝動買いした。私は写真集を衝動買いしないが、前年にリージェントストリートのおもちゃ屋で買ったブリティッシュ・エアウェイズのコンコルドのキャストモデルを従弟にプレゼントしてしまったことを残念に思っていて、それがトラウマになっていたからかもしれない。

「コンコルド」の内容は説明はしないが、これを買った直後のBT99年6月号にティルマンスのインタビュー(とてもすばらしい内容)が載っていて、そこで初めて彼の写真の展示方法(インスタレーション)を知った。その方法だが、写真は壁にさまざまな高さ、間隔で配置され、大きさも普通のL判から3畳敷き位まであり不ぞろいである。しかも原則額装されずに紙のままメンディングテープで留められているか、シルバーのダブルクリップ+虫ピンで壁に固定されている。このシンプルな方法により、4つの良い効果が認められた。

  1. 離れて観た時に配置そのものが作品となっている。
  2. 作者は作品をまとまりや流れとして見せることができる。
  3. 通常写真は展示の際に、額・マット・写真のフレーミングという順に3回も切り取られる。それらにより作品がぼやけてしまうのを防いでいる。
  4. 観客は壁に対してリニアに移動せず、上のほうに展示された作品を見るために壁との距離を調節するため蛇行する。そのため展示室を見回したときに観客が一列に並ばずにばらつき、美しい配置となる。

思っていた以上に魅力的な展覧会だった。「コンコルド」のインスタレーションも観ることができ満足だった。ただし、展覧会のカタログ、BT04年11月号の特集共に、ティルマンス論の内容に不満が残る。

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カテゴリー:アート, 写真 |  コメント (12) |  投稿者:hyodo

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