『映画』 の記事

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2005年3月29日

ERに癒される?

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今週よりNHK-BS2で待望のER Ⅹが始まった。ERはシカゴの緊急救命室を舞台としたアメリカのドラマである。

3年ほど前の土曜日のある日、夜11時ごろ仕事から帰ってきて、なんとなくテレビをつけたらERが放映されていた。以前にも何度か観たことはあったのだが、この日の私はドラマに強力に引き込まれ、疲れて帰宅したのに風呂にも入らず最後まで観てしまった。

ERには昼夜関係なく応急処置の必要な患者が運ばれくる。大抵、銃創、薬物の誤飲、交通事故などの一刻の猶予もない患者である。パワフルなスタッフたちの真剣な様子や機智ある会話、手術シーンの生々しさ等が、スムーズに移動するカメラワークによってその緊張感が現実のように伝わってくる。非常にめまぐるしくて忙しいドラマで、観たことがある人は大抵「観終わったらすっかりくたびれちゃった」と感想を述べる。

しかし、3年前の私の感想は違った。観終わったときに何ともすがすがしく心が晴れ渡り、慰められたのである。仕事で高ぶっていた気持ちは落ち着き、風呂に入ったあと熟睡することもできた。その頃仕事が私の心身を非常に圧迫していたので、私よりも多忙で、私生活でも難題を抱えているERの登場人物たちを観ていたら、「僕の抱えている問題などたいしたことないな」と思考を切り替えることができたのだ。それから土曜の夜は仕事から帰ってくるとテレビをつけ、ERから精神安定剤の処方を受けた。ますます仕事が忙しくなってくると、ビデオに録画して治療を続けた。そんなわけで私はERに癒されたのである。

ひとつ気に入らないことがある。ERのスタッフたちは勤務時間が決まっているので、交代の時刻が来ると代わりのスタッフに引継ぎをして家に帰れるのである。私の場合はそうはいかない。建築設計は終わりが無いので、結局深夜まで仕事をしてしまうことになる。でも、まあ今後も精神安定剤の処方をお願いすることにしよう。

※キルギスが政変による混乱が報道されているが、先ほど首都ビシュケクの友人より連絡が入った。一応収束に向かっている様子。良かったぁ!

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2005年1月7日

正月観た映画ーシッピング・ニュースー

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シッピング・ニュース」(ラッセ・ハルストレム、2001年)を観た。

ラッセの作品は「ショコラ」、「サイダーハウス・ルール」も観ている。
どちらも気に入っている。感想はというと・・・

■感想文 レベル1
99円でレンタル。安い。文教堂エライ。
「サイダーハウス・ルール」も99円で観たっけ。
「ショコラ」は映画館で観た。

■感想文 レベル2
そういえば「ショコラ」を観に行ったとき、
映画館のエレベータで
某有名建築家が奥様ではない若い美しい女性を連れていたのに遭遇したな。
彼らは「ハンニバル」を観に来たようだったけど、
どうやら怪しい関係とみた。

■感想文 レベル3
ウェイヴィ役のジュリアン・ムーアはイイ女だな。
年齢より若く見えるし。
「ハンニバル」でのクラリス役はちょっとと思ったが、
それは「羊たちの沈黙」のクラリス役ジュディー・フォスターに
私が入れ込み過ぎていたからそんなふうに思ったのだろう。

■感想文 レベル4
吹き飛ばされてしまうあの家は、どんな象徴性をもっているんだ?
過去のいろいろな事件を記録してきた家じゃないか。
トラウマを克服したということを
家の倒壊によって表現しなかったほうがいいような気がする。
むしろ手入れされて美しくなって欲しかったな。

クオイルとアグニスは癒されたのは、
島で出会った人たちの思いやりだよ。

■感想文 レベル5
クオイルは弱くて支配されがちな人物だけど、
環境が悪い中でもひねくれないし、相手を非難しないし、
何しろ一途に愛せるし・・・
彼はスーパーマンだ!

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2004年12月30日

今年、影響を受けた映画(2/2)

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今日は雪でした。バス停に行くまでの道のりで思い出に耽っていたこと・・・・・

・子どもの頃、積もった雪に小便かけて溶かすの好きだったな(今でもそうだけど)。
・ニセコの露天風呂で雪降る中、フカフカのバージンスノーに素っ裸でうつ伏せに倒れこんだっけ。

なんて書いていると、知人(痴人)たちに「やっぱりおまえは上品ぶっているだけだな」と言われてしまうので、防衛線を張ることにする。

・子どもの頃、気になる女の子に雪つぶてを投げて泣かしたりしてほんとにバカだったな。

ちょっとロマンティシズムが足りないかもしれない・・・・・・

・あのひとと初めて手をつないだのは雪の降る古都だったな。手袋越しに握り返してくる彼女の握力があまりに強くてびっくりしたっけ。

もうやめ。続きが知りたい方は、妄想専用メール”mosomoso“へどうぞ。
それでは昨日の映画評のつづきをざっといきます。

英雄 ~HERO~」チャン・イーモウ、2003年
こういう大河ドラマみたいな話は、ちょっとひいてしまうことが多いのだけれども、これは違った。アクションシーン、戦闘シーンさえ美しい。プロットはわかっているのに何度も観たくなるような映画。

溺れゆく女」アンドレ・テシネ、1998年
ビノッシュなので観た。さすがフランス映画。ハッピーエンドだが辛い。
この映画を見て、来年は稼ぐぞ!と思った。

サイダーハウス・ルール」ラッセ・ハルストレム、1999年
実はアービングを読んだことがない。映画で見る限り、この人の想うところは何であろうか?といつも考えてしまう。社会問題を取り上げているのか?冗談なのか?
キメ台詞がステキ「おやすみ、メインの王子達、そしてニューイングランドの王達よ!」

初恋のきた道」チャン・イーモウ、2000年
この人のロケ地選定眼はすごいな。厳しいが四季ある環境とおいしい食事こそが、ディのように軽やかに走る強いひとを生むのだろう。ローラ・インガルスもあんなふうに草原を走っていたかも。ところで私だったらチャン・ツィイーをあんなに待たせたりしませんよ!

少林サッカー 」チャウ・シンチー、2001年
日本のアニメーションの影響大ですな。うる星やつらっぽい。ラストシーンは宇宙戦艦ヤマトの波動砲もしくはガンダムのソーラーレイを思わせた。
関係ないが私はバーチャストライカーで香港代表チームを操り、アルゼンチンゴールへミラクルなボレーシュートを決めたことがある。

花様年華」ウォン・カーウァイ、2000年
「英雄」で観たマギー・チャンがあまりにイイ女なので観てみた。狭い香港の空間を色彩鮮やかにしっとりと撮っている。トラン・アン・ユンも色彩と湿度を撮るけど、気候の影響大ということかな。

さて、今日からしばらくは、バルコニー写真です。

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2004年12月29日

今年、影響を受けた映画(1/2)

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私の家の近くにある文教堂では、DVDを100円で借りることができる。とても安いので、よく借りる。又、BS2で放映する映画もチェックしよく録画している。それら中から、今年観た映画で影響を受けた作品を紹介することにする。
(ヴェンダースは以前記事を書いたのでここでは取り上げないことにします)

突然炎のごとく」 トリュフォー、1962年
3回は観た。硫酸を捨てるシーン、宝探し、自転車での疾走、跨線橋での徒競走、丘を転げるシーン、ある夜の3人の会話etc…全てが印象に残る。セーヌにそしてジムを乗せた車で飛び込むカトリーヌ。ジュールは幸せ者だ!
“Le Tourbillon” を歌うジャンヌ・モローがとにかく良い!私の iTune ★★★★ だ。

シェフと素顔と、おいしい時間」 ダニエル・トンプソン、2002年
ビノッシュ主演なので観た。旅行の途中で出会うひとにはどうして心が開放できるのだろうか?異性と同室で眠る落ち着かぬ一夜、別れてからの連絡方法の確保、物理的距離が離れるほどに合わさっていく心などなど、これだけ予感が満ち溢れていても相手に踏み込んでいけるとは限らないのだ。今度料理をしてみるかな、ジャン・レノのようにはなれないけれどね。

ひかりのまち」マイケル・ウィンターボトム、1999年
主人公の3姉妹の問題点は、母親が隣家の犬を毒殺してしまうことに全て現れているような気がする。たぶんこれまでの生活の中で蓄積されてきた何かだ。チャンスを得たとしても、普段から気を付けていないことはうまくいかない。落ちることはたやすいのに・・・。そして身近にある幸福を見逃してしまうのである。
それにしても夜の街を描写するカメラワークとナイマンの音楽が素晴らしい。

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2004年12月20日

私もはまった「冬のソナタ」

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今週は旨いとんかつを2回も食ったり、第九を聴きに行ったり、鎌倉に紅葉を見に行ったり、新しい気の置けない仲間と飲んだりしたので、それらを記事にしたかったが、緊急の事態が生じた。本日より「冬のソナタ—完全版」が放映されるので、その前にひとこと申し上げたくなったのだ。

改めて告白したい。私は「冬のソナタ」にはまった。3回は見たような気がする。「24 season-1,season-2」よりはまったと思う。私を直接ご存知の読者は呆れ、かなりもしくは完全に引いたかもしれない。もしかしたら携帯の電話帳から私を消去し始めたことであろう。しかし私は恐れないぞ。諸君全てを失ってもいい。論じてみることにする。

私の見解は世間とは異なる。あれは決して純愛ドラマなどではない。嫉妬とエゴイズムが渦巻くドロドロの男女関係の物語だ。軽やかでさわやかな主人公たちに目を奪われたり、濃厚なラブシーンがないからといって純愛だのと単純に解釈して子どもに見せたりしてはいけない。

このドラマのポイントは、主人公ユジンとチュンサンの情報価値の優先順位の付け方、及びその伝達方法にある。彼らは客観的事象の伝達と、感情の伝達を巧妙に使い分けている。

例えば何かしら誤解を受けている場合でも、彼らは真実を客観的に語ることによって誤解を解こうとしたりはしない。相手に気が付かせるように振舞い、最終的に相手が認識するまで放っておく。それにより、誤解させるようなことをした方が悪いのではなく、誤解した方が悪いことになるのである。更に相手の自意識の過剰さを暗に責めることにもなり、より高いアドバンテージを得ることに成功している。

更にユジンもチュンサンもお互いの本当の感情を相手に語ることがない。相手の心の負担を軽くするための思いやりだって?甘い、絶対にそれは違う。語らない理由は、自明のことだからである。だから本心ではない言葉を語ることによって、逆に愛情を証明し、時には相手を追い込み、これまたアドバンテージ獲得をしているのである。

恋人たちはふたりにしか通じない多くの言葉を持つものであろうと思うが、それにしても彼らは過剰である。しかも常に軽やかなアドバンテージ合戦をしているのだから疲れるだろうな。ドラマの終盤では実際仕事どころではなくなってしまう。こんなことを書いていると、なんて穿った見かたをするのかとご批判を頂きそうだが、私が言いたいのは、彼らには偽りの無い真のエゴイズムがあるということである。

サンヒョクもチェリンも恋の相手を束縛したり、嘘を責めたりする。事実を伝えているだけかも知れないが戦略的には間違いだ。より大きな自由を与えることにより相手に規範を作らせなければ長続きはしないだろう。民主主義社会とはそういうものだ。恋愛と社会体制は関係ないし、恐怖政治の方がお好みの方もいらっしゃるであろうが、ひとつのコツであることは否めないと思う。

まだまだこのドラマについて語りたいことはいくらでもあるが、それは今日からの放送を観てからにしようと思う。また観るのかと自分でもあきれる(笑)

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2004年11月17日

ベルリン・天使の詩

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昨日もう1本ヴェンダースを観た。「パリ、テキサス」が映像主体に構成されているのに比べ、こちらはことばをひたすら紡ぐといった感じである。延々とささやくように語られるドイツ語を字幕で追うのは辛かったが、書きとめたくなる様な台詞が数多くあった。母と観ていたので、いちいち書きとめなかったが、それでもいくつか覚えているのを揚げてみると「人間いちどは真剣になる」とか「満月でなく、新月の日に決める」などなど、心に響くことばで溢れている。

もちろん映像も良い。図書館、ベルリンの壁際、軌道の下、サーカスの広場など、ロケ地選定のセンスが、今の若手風景写真家に影響を与えているだろうし、空中ブランコの女の寂しげな様子はホッパーの絵のようだ。

他にもいろいろと楽しめた。ニック・ケイブが出演。歌っていた。若い。夏にペテルブルグに行った時にオクチャープリスカヤ近くの劇場でポスターを見かけた。「まだ活動しているんだ、しかもロシアでライヴなんて」と思ったが、今、HMVで調べてみると、コンスタントに活動しているのだった。コロンボが出演している。カサヴェテスの「こわれゆく女」を見たときにシリアスな役を演じるピーター・フォークに驚いた記憶がある。ここではピーター・フォークとして出演し、撮影のためにベルリンを訪れているという設定である。安次郎、フランソワ、アンドレイに捧げると最後に字幕が出た。アンドレイ・タルコフスキー?実は観たことない。今度観てみよう

更に何かないかと思ってキネ旬DBを調べてみると、ちょっとした発見があった。「東京画」はヴェンダースっだったんだ。なるほど小津リスペクトの理由がわかった。主役の天使役ブルーノ・ガンツはこないだNHK-BSで観たアイルランド映画「春にして君を想う」でも天使役を演じていたっけ。などなど、ブログのために少し調べてみて勉強になった。

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2004年11月16日

パリ、テキサス

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ヴェンダース、1984年。以前「WRITTEN IN THE WEST」というヴェンダースの写真集を青山のABCで見かけた。私は一目で気に入ってしまったが、その場で買わずにメモして Amazon で注文した。安く買うことが出来たが、その結果、ABCは倒産した。すまないことをした。ABCは再スタートしたようなので、これからはABCで購入しようと思う。

その後、その写真集は「パリ、テキサス」のイメージ集であることを知る。仕事の先輩からはたびたび薦められていたが、忙しくてなかなか見る機会がなかった。先日近所のレンタルショップで見かけたので借りてみることにした。

美しい映像に引き込まれ、あっという間に時は過ぎた。舞台は乾燥地帯だと思われるが、「青いパパイヤの香り」や「花様年華」を観たときのような湿度を感じた。小津のカラー作品も思い浮かべた。どのカットもきまっている。何度も観ることが出来る映画とは、プロットが単純で意識させない、情感や映像の印象が残る作品だ。この映画はそういう作品だと思う。出会えて良かった。

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