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2004年11月17日

ベルリン・天使の詩

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昨日もう1本ヴェンダースを観た。「パリ、テキサス」が映像主体に構成されているのに比べ、こちらはことばをひたすら紡ぐといった感じである。延々とささやくように語られるドイツ語を字幕で追うのは辛かったが、書きとめたくなる様な台詞が数多くあった。母と観ていたので、いちいち書きとめなかったが、それでもいくつか覚えているのを揚げてみると「人間いちどは真剣になる」とか「満月でなく、新月の日に決める」などなど、心に響くことばで溢れている。

もちろん映像も良い。図書館、ベルリンの壁際、軌道の下、サーカスの広場など、ロケ地選定のセンスが、今の若手風景写真家に影響を与えているだろうし、空中ブランコの女の寂しげな様子はホッパーの絵のようだ。

他にもいろいろと楽しめた。ニック・ケイブが出演。歌っていた。若い。夏にペテルブルグに行った時にオクチャープリスカヤ近くの劇場でポスターを見かけた。「まだ活動しているんだ、しかもロシアでライヴなんて」と思ったが、今、HMVで調べてみると、コンスタントに活動しているのだった。コロンボが出演している。カサヴェテスの「こわれゆく女」を見たときにシリアスな役を演じるピーター・フォークに驚いた記憶がある。ここではピーター・フォークとして出演し、撮影のためにベルリンを訪れているという設定である。安次郎、フランソワ、アンドレイに捧げると最後に字幕が出た。アンドレイ・タルコフスキー?実は観たことない。今度観てみよう

更に何かないかと思ってキネ旬DBを調べてみると、ちょっとした発見があった。「東京画」はヴェンダースっだったんだ。なるほど小津リスペクトの理由がわかった。主役の天使役ブルーノ・ガンツはこないだNHK-BSで観たアイルランド映画「春にして君を想う」でも天使役を演じていたっけ。などなど、ブログのために少し調べてみて勉強になった。

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カテゴリー:映画 |  コメント (9) |  投稿者:hyodo

2004年11月16日

パリ、テキサス

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ヴェンダース、1984年。以前「WRITTEN IN THE WEST」というヴェンダースの写真集を青山のABCで見かけた。私は一目で気に入ってしまったが、その場で買わずにメモして Amazon で注文した。安く買うことが出来たが、その結果、ABCは倒産した。すまないことをした。ABCは再スタートしたようなので、これからはABCで購入しようと思う。

その後、その写真集は「パリ、テキサス」のイメージ集であることを知る。仕事の先輩からはたびたび薦められていたが、忙しくてなかなか見る機会がなかった。先日近所のレンタルショップで見かけたので借りてみることにした。

美しい映像に引き込まれ、あっという間に時は過ぎた。舞台は乾燥地帯だと思われるが、「青いパパイヤの香り」や「花様年華」を観たときのような湿度を感じた。小津のカラー作品も思い浮かべた。どのカットもきまっている。何度も観ることが出来る映画とは、プロットが単純で意識させない、情感や映像の印象が残る作品だ。この映画はそういう作品だと思う。出会えて良かった。

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カテゴリー:映画 |  コメント (3) |  投稿者:hyodo

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