2005年6月の記事

2005年6月26日

金沢へ行ってきた!

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先日梅雨入りした日のお茶の稽古でのこと・・・

先生  :「hyodoさん、お天気はいかがでしたか?」
hyodo :「?、雨が降って参りました」
先生  :「あら、雨だったの?」
hyodo :「??。空が真っ暗です」
先生  :「それは残念だったわねぇ、どちらにいらしたの?」
hyodo :「???。施主と現地を見に行きました」
先生  :「あら、お仕事でしたの?金沢は晴れてたって訊きましたけど、お天気悪かったのね」
hyodo :「!!!、あ、先生、金沢のことおっしゃっていたんですね。晴れてました!」
先生  :「あなた、どこの天気の話なさってたの!(笑)」
hyodo :「・・・・・・ドウモ場ヲヨムコトガ苦手デ・・・・・・(照)」

こんなやりとりの数日前に、仕事の合間を見つけて金沢へ行って参りました。街歩き好きの私は、ほとんど交通機関を使うこともなく徒歩で玉泉園、兼六園、21世紀美術館、里見町、鱗町、香林坊、長町武家屋敷、高岡町、金沢城、兼六元町、橋場町、東山ひがし茶屋街、主計町、近江町市場を2日間で廻ってきました。金沢はコンパクトな都市なので中心部は徒歩でほとんど見て廻ることができます。今回の記事では、金沢を訪れるきっかけとなった21世紀美術館の展示作品をいくつかご紹介します。

21世紀美術館は今人気の美術館でもあり、訪れたのが日曜日で、しかも地下では県展を開いているし、屋外スペースでは仮設ステージでヒップホップ系ダンス大会を催しているしで、大変混雑していました。しかし人が大勢いる割には、落ち着けるような椅子やソファーが置いてある場所があちこちにあるので、人の密度が分散し展示が見やすいように思いました。展示室を結ぶ廊下は光庭の位置が絶妙で通路を歩かされている感じではなく、街中を歩いているような気分でした。この美術館は円形プランや造形的な美しさだけではなくメンタルな部分での設計も非常に優れており、考え方も新しい美術館であると思います。

しかし、あれほど期待していたジェームズ・タレルの「ブルー・プラネット・スカイ」はがっかり。エルサレムのイスラエル博物館で観た”Space That Sees”よりは規模は大きく、施工精度も高いと思うのですが、日本は雨が多いためか、天井の穴の縁が既に汚れはじめていて、その汚れが自分と天井との間の距離を感じさせてしまい、空と天井が同一面に見えないのでした。もはや「はしごに登れば、手が届きそうな青空!」ではなかったのです。それだけでなく”Space That Sees”と比較すると「ブルー・プラネット・スカイ」には重要なコンセプトの欠落があることに気が付きました。 “Space That Sees”は庭の斜面に設置されており、外部から作品をうかがい知ることは全く出来ません。入口は斜面の掘られた天井の低いトンネルをくぐってアクセスします。シークエンスは次のように変化し、誰もが同じ条件で作品に接します。

解放された外部(非常に明るい)
     ↓
トンネル(急に暗くなる。狭い通路)
     ↓
天井だけ解放された作品の内部空間(再び明るくなる。解放空間)

しかし金沢の「ブルー・プラネット・スカイ」の場合のシークエンスは、鑑賞者の行動によって変化します。外部と作品内部をつなげるトンネルもありません。

解放された外部(美術館の外)
     ↓
ラウンジ・通路・展示室など
(明暗が場所によって異なる。人によってシークエンスが異なる)
     ↓
天井だけ解放された作品の内部空間
(鑑賞者には前もって展示室であることが了解されている)

こうして分析してみるとなぜ私が感動出来なかったかがわかってきます。その点、アニッシュ・カプーアの「世界の起源」は目の錯覚を生じさせることに成功しています。

ちょっと「ブルー・プラネット・スカイ」を批判してしまいましたが、地中美術館の「オープン・スカイ」はどうなのでしょう?こちらの方も近いうちに見に行ってみたいと思います。

さて、その他の作品で興味を惹いたのはフィオナ・タンの「リンネの花時計」というビデオ作品。旅行で訪れた夜の渚でウミガメの産卵に遭遇した作者は大きな感銘を得ます。このときの感情が起点となっているのですが、印象的な言葉と具象的だが心象のみを表す映像を輪転させ、上映の途中から見ても内容がわかるように構成されています。観ていくうちに映像と言葉、そして必ずしもかみ合わない音が鑑賞者自身に自己の生を辿らせ、瞑想的至福感に包まれます。もう一度観たいです、これは!

今日の写真 ~ソフト・ハウス その6~
今回はサンクト・ペテルブルグ近郊ペテルホフにある大宮殿・庭園にある「傘の噴水」。傘の縁からは水滴の壁。この日はペテルブルグでも猛暑で子どもたちは水浴びを楽しんでおりました。

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カテゴリー:アート |  コメント (10) |  投稿者:hyodo

2005年6月21日

シフォンケーキ・官能篇

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ふた月ほど前に大量に夏みかんシフォンケーキを焼きすぎたせいか、最近あまり焼いていなかった。ゴールデンウィーク明けに、キルギスの友人を夕食に自宅へ招いたときに1ホール焼いただけである。

「さすがに夏みかんシフォンも飽きてきたのだろうか?」 私は想いを巡らす。
「それともシフォンそのものに飽きてしまったのでは?」 私は独り苦悩する。
「もしかして人生に飽きてしまったとか?」 私は世に問いかけ、神を求める。

しかしここで崇高で形而上学的な問題は妄想に取って代わり、それは膨らんで、飛躍し、ついには官能の世界を逍遙するのだった。ではそこから閃いた妄想的官能フレーバーをご紹介しよう。

このあいだTSUTAYAの半額デーに「髪結いの亭主」(1990仏 パトリス・ルコント)という映画をレンタルして鑑賞した。簡単にストーリーを説明すると、女性理髪師の官能に子どもの頃から恋いこがれていた男アントワーヌは、理髪店の美女店主マチルドに一目惚れし、求婚して結婚し、ひたすら彼女を見つめて暮らし、彼女もそれに満足しているのだが、老いを怖れたマチルドは、ある日死を決断するに至る・・・こんな感じなのだが、ルコントの作品には相手を愛するがあまり、不幸(至福?)に落ちる、しかも外的要因に巻き込まれて仕方なくというのではなく、内的要因で自発的にそうなってしまう話が多いような気がする。

映画の最後の方で、マチルドが散髪している客の「死の匂いとは?」という問いに対し、アントワーヌが「バニラ風味のレモンだ」と答えるシーンがある。このやりとりの後、マチルドはその客が年をとって背が曲がってきたことを自分の老いに照らし合わせ、死を決断をする、という重要なシーンなのだが、私はこの「バニラ風味のレモンだ」の台詞がすっかり気に入ってしまった。バニラもレモンもどちらも大好きな思い出深い香りだが、子どもっぽい香りだなとも思っていた。しかしこれらを合わせると死の匂い?否、この映画では官能の匂いと解釈すべきであろう。マチルドは死だけを決断したわけではないのだから。そこで早速バニラ風味のレモンシフォンを焼いてみることにした。

シフォンケーキは少量の小麦粉をベーキングパウダーを使わずメレンゲだけでふんわりと焼き上げるためか、強めに香り着けをしないとフレーバーが何であるかわかりにくい。そこでバニラエッセンスは30滴、レモンは半分の皮と果汁で香り着けをすることにした。レシピはおなじみ赤堀レシピを参照。映画を意識して、女性の方はマチルドの真似して胸元や腿をちらつかせながら卵を割ったり、男性の方はアントワーヌの真似してアラブダンスを踊りながら泡立て器を振り回したりしながら調理すると気分が高揚するかも(笑)

さて、お味の方はといいますと、これだけバニラエッセンスを垂らしても微かな香りしかしない。やはりメレンゲの宇宙は広大なのか(シフォンケーキ宇宙編参照)、シフォン全体に広がるようにするには天文学的な滴数が必要かもしれない。メレンゲによって薄められた官能の匂いに、そんなはずは無いと思いながら、私は更に鼻を近づけて嗅いでみるのであった。

今日の写真 ~ソフト・ハウス その5~
今回はマカオ、タイパ島。お祭りのために作られた仮設舞台だが、使用部材は中華圏の建設現場で使われている竹とシマシマ養生シート。

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カテゴリー:シフォンケーキ |  コメント (9) |  投稿者:hyodo

2005年6月14日

hyodoの近況は?

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みなさん、こんにちは!hyodoです。ご無沙汰しております。
ちょっとここのところ忙しくて、無聊写記の更新が滞っております。
ご心配お掛けして申し訳ありません。hyodoは元気にやっております。
どのくらい元気か?と申しますと、

  1. 奥多摩へ登山に行って筋肉痛になったり、
  2. キルギスから来ている友人とお茶のお稽古へ行ったり、
  3. 金沢21世紀美術館でジェームス・タレルの作品を観たり、
  4. 初めて月島へもんじゃを食べに行ったり、
  5. カフェバグダットさんのイベントであこがれのカリーマさんをご拝顔したり、

という感じで、ここ2週間楽しくやっておりますので、
ご安心下さいませ。

やはり記事を書くとなると、1本につき3~4時間くらい掛かるのです。
そんなに時間かけている割には・・・・・・という指摘もございましょうが、
私の場合はそのくらい掛かってしまうのでございまして、
ここのところちょっと時間が取れなくて記事が書けず残念です。

ネタはいろいろたまっておりますが、
次回は久しぶりにシフォン・ネタでいきましょうか。

題してシフォンケーキ・官能篇

ちょっと、そそられました?
それでは、お楽しみに!

今日の写真 ~ソフト・ハウス その4~
今回は千葉県九十九里浜。良く晴れた春先の光景。ソフト・ハウスというよりは廃墟であって屋根も無いのですが、テンポラリーな居場所って感じがしませんか?

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カテゴリー:雑記 |  コメント (8) |  投稿者:hyodo

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