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上田の家

長野県上田市に計画したお歳を召された婦人のための住宅です。敷地は、千曲川と2000m級の山々に囲われている上田盆地にあり、なだらかな傾斜のある住宅地にあります。東側に長女の家、北側にクライアントの所有する単身者用アパートが建っています。そのような周辺環境の関係から、建物を敷地中央に配置し、長女の家の庭を眺められるように開口部を設け、玄関は防犯上 20m離れた公道から見える位置にしました。間取りは基本的に平屋とし、寝室から水廻りへの動線を短く、車椅子を使用する場合に備えて、通路幅を十分に取るように配慮しました。

夜のポーチ

ポーチを地面から浮かし細いスチールフレームで囲うことにより、重くなりがちな玄関周りを、軽やかに表現しました。また、玄関引戸の両脇には格子窓を設けているので、ホールの光が漏れ、夜でも明るいポーチとなっています。目隠しはポリカーボネイト製です。

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ヒノキの引戸の玄関

玄関の戸は開きドアではなく引戸にしました。材質はヒノキです。ポーチに深い庇があるので、3年以上経った今も劣化は見られません。

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玄関の飾り棚

玄関引戸を開けたときに、正面の靴入れの引戸で視線が止まるのは寂しいので、引戸をくり抜いて飾り棚を作りました。

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リビング・ダイニング

勾配天井の登り梁を見せることにより、ひとつの大きな屋根を感じられるようにしました。柱・梁等の構造材は全て地元の県産材(長野)の集成材を使用しています。

複数機能のデザイン処理

建具、家具、仕切り、収納、照明等の機能を統一感のあるデザインにまとめました。上段の和障子を開放するとロフトにつながります。下段は左からホール引戸、リビング収納、オープン棚、仏壇置場、納戸となっています。上段と下段の間には照明ダクトレールが埋め込まれスポットライトを設置しています。

キッチンを中心に部屋と部屋を柔らかく仕切る

アイランド・キッチンとその後ろの収納は、リビング、キッチン、寝室をやわらかく仕切っています。キッチンを家の中心に配置することにより、全ての動線が短くなります。
畳とフローリングにはヒートポンプ式熱源の温水床暖房が入っています。アイランド・キッチンは特注。ドレープカーテンは窓に掛からないように壁に引き込むことができます。

アイランド・キッチン

広く、収納量が多く、オートクロージング式の引き出しの使いやすいキッチンです。アイランド式なので、三方にカウンターを設けて、洗い物などがリビングからの見えないように配慮しています。

キッチン動線上にテラス窓を開け、家庭菜園へのアクセスがしやすくなっています。

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寝室は必ずしも個室ではない

将来寝室で過ごされる時間が長くなるような場合になっても個室に閉じ込められたような感じにならないように、動線を 2ヶ所設け、大きなランマから視線が抜けるよにし、広がりを感じられるようにし、小さめのリビングのような印象にしました。

寝室からトイレ、バスルーム、キッチン、玄関、リビングへのアクセスをし易くすることは、一番重要なオーダーでしたが、その他に年をとってから新しい家に住み替えることは、心身ともに負担になることが察せられました。そこで動線を短くするだけでなく、なんとなく懐かしさを感じてもらえるように、上田市街に未だ多く残る町家の格子をモチーフとした建具を部屋のあちこちに配しました。

水廻り

寝室、キッチンからの距離を短くするとともに、動線の幅を広くとり、使い勝手を重視した設計となっています。

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洗面室

開放的な明るい空間とすることにより、歯磨きや洗濯などの家事も気持ちよく行えるようにしました。引き戸を開けておけばリビングとも直接つながり、キッチンとの動線も短くなっています。

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バスルーム

ハーフ・ユニットバスを採用し、開放的なバスルームにしました。入り口は引き戸とし、段差をなくしています。

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トイレ

バリアフリーを配慮したちょっと広めのトイレなので、きちんとした手洗いを設置しました。カウンターは手摺りを兼ねています。

埼玉県川口市の一級建築士事務所 兵藤善紀建築設計事務所