July 31, 2005

ベリー生活!!お化けのシフォンケーキ その3

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さて、前回の記事では桑の実ジャムを大量に作って大いに楽しんだ、というところまで話した。いつも通りそのジャムでシフォンケーキを焼いてみた。レシピは「無聊写記」ではお馴染み赤堀レシピ。詳しくは「しっとりシフォンケーキ―」を参照。


黄身と砂糖を混ぜ、オレイン油を加えて混ぜて乳化し、桑の実ジャムを入れると生地はドス黒く変色し、薄力粉を混ぜても黒々としていた。さらにメレンゲ(赤堀レシピでは柔らかめに、そして手で泡立てることを推奨している)と混ぜ合わせてようやく紫色に判別出来るようになった。170℃のオーブンで38分。焼き上がったら4時間くらいは型を逆さにして冷ます。


十分冷めてから型抜きをして、一切れ切り分けてみる。切り口をみてびっくり。具合の悪い人みたいに緑がかった青で、まるでアザのような色。くすんで精気がない感じでおいしそうに見えないどころか、むしろまずそう。


このシフォンで茶会をシミュレートしてみる。(シフォンケーキ茶道編を参照)


hyodo :お菓子をどうぞ
正客 :夏に焼き菓子とはお珍しいこと(イジワルな質問)
hyodo :季節の果物が入れてみました。
正客 :何かしら?
hyodo :切り口をご覧くださいませ
正客 :このお菓子、青ざめていますね
hyodo :涼を表してみました。
正客 :しかしなんと見栄えの悪い・・・・・
hyodo :でも美味しいでしょ!
正客 :ええ、まあ。ご銘は?
hyodo :『お化け』でございます。
正客 :・・・・・・・・・・


と言うわけで「お化けのシフォンケーキ」と銘を付けた。味はいいのだが見た目があんまりだ。今後の改良点としては、型に生地を流し込んでから桑の実ジャムを垂らしてみようと思う。そうすれば切り口にはマーブル状に綺麗な紫が見えてくるはずだ。


私のベリー生活はひとまずおしまい。この週末群馬の山奥へ野いちご摘みに行く予定だったが私情でキャンセルしてしまいとても残念。昨日仕事で佐原へ行ってきたのですが、伝統的建築物保存地区でたわわに生っているブラックベリーを発見したのはその無念からかもしれない。そこで立ち寄ったカフェしえとは古民家をリノベーションしたオシャレなカフェ。オススメです。


今日の写真 ~Underconstction その3~
今日も中華圏の竹の足場。どんな形の建築物にも対応。場所は香港。

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July 18, 2005

ベリー生活!!お化けのシフォンケーキ その2

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さて、母と私は渡良瀬遊水池内の谷中湖近くの公園に到着すると、雨合羽を着てポリバケツを持ち、雨の中桑の木が生い茂る湖畔を目指した。平日雨、しかもだいぶ降っているというのに、そこには桑の実摘みに馳せ参じた同志たちがチラホラと見受けられた。「ソフホーズでの収穫!」何の脈絡も無いが、突然脳裏にこんな言葉を思いついた。この広大で無機質な風景がソビエトの国営農場を連想させたのかもしれない。見たこともないのに・・・・・。


まずは実のなり具合を確認。雨が続いていたせいか、あまり良くは無いがどんどん摘む。桑の実は熟すと全体が黒っぽい紫色になり、軽く引っ張るだけでぽろっともげる。赤い実は未熟で相当強く引っ張っても採れない。上を見上げて実を摘んでいると、木の下とはいえ雨が顔にまともに当たり結局全身びしょぬれとなる。それでもめげずに湖畔に沿って歩きながら摘むこと3時間、ポリバケツ1杯、約3kgの収穫。湖畔でお茶を飲んで少し休む。


夜に帰宅して早速ジャム作り。桑の実1kg当たり砂糖400g振りかける。軽くヘラで混ぜる。砂糖にまぶされた桑の実をつまむ・・・・・・旨い!20分ほど火にかける。味見・・・・・・旨い!最後にレモン汁をかけて色止め(になるかどうかは不明)。黒に近い濃い紫色がキレイ。翌朝、カスピ海ヨーグルトにかけて食べる。8枚切りトーストに乗せて食べる。牛乳に汁だけ垂らして飲む。そのままスプーンで舐める。生食で食べる。・・・・・・などなど hyodo家は幸福な日々を迎えたのであった。(つづく)


今日の写真 ~Underconstction その2~
有名な中華圏の竹の足場。これくらい大規模になると美しいです。場所はマカオ。

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July 14, 2005

ベリー生活!!お化けのシフォンケーキ その1

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心が荒んでいるのか?身体が錆びているのか?世に擦れているのか?


私は荒涼とした景色が好きである。シチリアやエーゲ海の島々、アナトリアの乾いた山、イエメンの広大な渓谷、ウズベクのホラムズ地方、日本では根室半島の平原と強風で枝が曲がった木々の風景、九十九里浜etc...特に見るものもなく焦点の定まらない変化に乏しい風景を見ていると心が落ち着くのである。


ホンマタカシがアイスランド・レイキャビクの郊外を撮影した「Hyper Ballad」、松江泰治が世界各地の地表を薄墨のように表現した「HYSTERIC」。どちらも主たる撮影物は無く焦点の定まらない茫漠たる風景写真集である。衝動買いをしない私としては珍しく手に取った瞬間にレジへ走ってしまったほどこれらの作品には魅了されてしまった。建て売り住宅で構成された郊外の街に育った私(達)が持つ原風景には本質的に美というものが無い。それ故に空虚な被写体をホンマや松江によって美しく表現してもらうことで自分の子ども時代も美しいものとして記憶が書き直され、嬉しくなるのかもしれない。「私(達)が育った住宅街も満更でもないな」と。そして、 エドワード・ホッパー。一見弱く感じる表現の絵の中に冷めた風景や淋しげな人物の佇まいを観て「私の生活も満更ではないのかもしれないな」と少し安心し、慰められるのかもしれない。


そんな感じの風景を見ることができる場所が私の住まいから比較的近い場所にもある。茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県の4県の県境にまたがる渡良瀬遊水池である。この遊水池の概要はリンク先をみていただいた方がわかりやすいので省略させていただき、私が受けた印象だけを語ることにする。


初めてここを訪れたのは大学生のとき。プリメーラが納車したばかりで嬉しかったのか家族で利根川周辺をドライブしていた。するとスカイダイビングをしている人が上空に見えた。着地点を追って行ってみた先が渡良瀬遊水池内の広場だっのだが、とにかくものすごい広さで一面アシ原で北海道の釧路湿原を思い浮かべるほど。しかし釧路湿原と大きく異なるのは、ここは洪水対策のために造られた人工環境であること。遊水池域内には「超流堤」というアスファルトの巨大な堤防があり、これを初めてみたときは、人気のない校舎にひとりいるときのようで、その不気味さにぞっとしたものである。私が心惹かれたのはこの広大な人工自然環境と巨大な構造物との対比とこれらによって構成される茫漠とした風景である。


写真をいくつか紹介すると
枯れたアシ原
池内水路
池内道路
池内公園の駐車場
調整池谷中湖周辺
池内公園のバーベキュー小屋
緑のアシ原
超流堤
こんな感じである。


さて、渡良瀬遊水池の楽しみは風景だけでなく他にもある。5月下旬から6月初旬にかけて桑の実が採れるのだ!桑の実は熟すと黒に近い紫色の小さい房の集まったラズベリーのような果実で、甘さも酸味が強い。英語では "mulberry" というから苺(strawberry)やスグリ(gooseberry)などのようにベリー系の果実なのであろう。昨年母とふたりで立ち寄ったときに、桑の実摘みをしている人たちを見かけたので、真似をしてビニール袋一袋ほど採ってみた。持ち帰って食べてみると生食でもジャムにしても旨く、ジャムにしたときの果汁の色がブルーベリーのように濃く美しいので、すっかり気に入ってしまった。もっと摘んでくれば良かったと後悔した。そんな訳で今年は収穫の日を指折り数え準備にいそしみ、「庭木のオリーブの花が散り始めたから、渡良瀬の桑の実はそろそろではないか?」とか「浦和の麦畑がまだ収穫してないからまだ早い」とか周囲の植生状態にも気を配って時期を探り、ポリバケツなどの装備を用意し、仕事のスケジュールを調整し、万全の体制を整えた。決行の日、天候には恵まれず雨が結構降っていた。そこで雨合羽を2着急遽装備に加えて、体制をより頑固なもへグレードアップした。そして燃費装甲車プリウスを駆り、桑の生い茂る遊水池の岸辺を目指したのである。(つづく)


今日の写真 ~ソフト・ハウス その8~
サンクト・ペテルブルグはネヴァ川沿いのカフェ。建築的にもデザイン的にもなかなか良くできている。ソフト・ハウスの写真は今回でおしまい。次回のシリーズもお楽しみに!

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June 21, 2005

シフォンケーキ・官能篇

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ふた月ほど前に大量に夏みかんシフォンケーキを焼きすぎたせいか、最近あまり焼いていなかった。ゴールデンウィーク明けに、キルギスの友人を夕食に自宅へ招いたときに1ホール焼いただけである。


「さすがに夏みかんシフォンも飽きてきたのだろうか?」 私は想いを巡らす。
「それともシフォンそのものに飽きてしまったのでは?」 私は独り苦悩する。
「もしかして人生に飽きてしまったとか?」 私は世に問いかけ、神を求める。


しかしここで崇高で形而上学的な問題は妄想に取って代わり、それは膨らんで、飛躍し、ついには官能の世界を逍遙するのだった。ではそこから閃いた妄想的官能フレーバーをご紹介しよう。


このあいだTSUTAYAの半額デーに「髪結いの亭主」(1990仏 パトリス・ルコント)という映画をレンタルして鑑賞した。簡単にストーリーを説明すると、女性理髪師の官能に子どもの頃から恋いこがれていた男アントワーヌは、理髪店の美女店主マチルドに一目惚れし、求婚して結婚し、ひたすら彼女を見つめて暮らし、彼女もそれに満足しているのだが、老いを怖れたマチルドは、ある日死を決断するに至る・・・こんな感じなのだが、ルコントの作品には相手を愛するがあまり、不幸(至福?)に落ちる、しかも外的要因に巻き込まれて仕方なくというのではなく、内的要因で自発的にそうなってしまう話が多いような気がする。


映画の最後の方で、マチルドが散髪している客の「死の匂いとは?」という問いに対し、アントワーヌが「バニラ風味のレモンだ」と答えるシーンがある。このやりとりの後、マチルドはその客が年をとって背が曲がってきたことを自分の老いに照らし合わせ、死を決断をする、という重要なシーンなのだが、私はこの「バニラ風味のレモンだ」の台詞がすっかり気に入ってしまった。バニラもレモンもどちらも大好きな思い出深い香りだが、子どもっぽい香りだなとも思っていた。しかしこれらを合わせると死の匂い?否、この映画では官能の匂いと解釈すべきであろう。マチルドは死だけを決断したわけではないのだから。そこで早速バニラ風味のレモンシフォンを焼いてみることにした。


シフォンケーキは少量の小麦粉をベーキングパウダーを使わずメレンゲだけでふんわりと焼き上げるためか、強めに香り着けをしないとフレーバーが何であるかわかりにくい。そこでバニラエッセンスは30滴、レモンは半分の皮と果汁で香り着けをすることにした。レシピはおなじみ赤堀レシピを参照。映画を意識して、女性の方はマチルドの真似して胸元や腿をちらつかせながら卵を割ったり、男性の方はアントワーヌの真似してアラブダンスを踊りながら泡立て器を振り回したりしながら調理すると気分が高揚するかも(笑)


さて、お味の方はといいますと、これだけバニラエッセンスを垂らしても微かな香りしかしない。やはりメレンゲの宇宙は広大なのか(シフォンケーキ宇宙編参照)、シフォン全体に広がるようにするには天文学的な滴数が必要かもしれない。メレンゲによって薄められた官能の匂いに、そんなはずは無いと思いながら、私は更に鼻を近づけて嗅いでみるのであった。


今日の写真 ~ソフト・ハウス その5~
今回はマカオ、タイパ島。お祭りのために作られた仮設舞台だが、使用部材は中華圏の建設現場で使われている竹とシマシマ養生シート。

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April 20, 2005

シフォンケーキ・ダバダバ編

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最近シフォンのフレーバーには事欠かない。
たくさんあったはずの文旦はいつしか残り僅かとなり、私は将来のシフォン・ライフに不安を覚え始めていた。しかしそれは杞憂であった。なんと新たなフレーバーは向こうからやってきたのである。


それもたくさん!

しかもタダ!!

もぎたてピッチピチ!!!


以前母に頼まれて、母の友人の家に訪問するための文旦シフォン(正式名称:文旦マーマレード・シフォンケーキ)を焼いたことがあった。その方からお礼に夏みかんを頂いたのである。庭に生えている木からもいだ夏みかんなので完全に無農薬、そして新鮮だ。早速身を食してから皮をスライスしてママレードを作ることにした。


マレードを煮ているあいだ、映画を1本観ることにした。 最近録画したBS2の映画のリストを見ると次のようなタイトルが並んだ


甘い生活> フェリーニの皮肉についていけなさそー!
男と女の詩> クロード・ルルーシュか・・・・・・「男と女」とは違う映画なのかな?
薔薇の名前> エーコか・・・・・・ショーン・コネリーはいい演技をしているな・・・・・・もう一度観てもいいかも。
地獄の黙示録> 3時間はちょっとキツイなー。ママレードが煮詰まりすぎちゃうよ!


結局一番時間の短い「男と女の詩」を観ることにする。


ダー♪、バー♪、ダー♪、ダバダバダ♪、ダバダバダ♪・・・・・・


おっ、アヌーク・エーメとトラティニャンが映っている。これは「男と女」なのか?


アヌーク: 「お肉だけじゃ不満だったみたいね」
トラティ:  「何かたのもうか、ギャルソン!!・・・・・・部屋をたのむ・・・」


なんだこりゃ。と思ってたら、その後画面はカラーになり、刑務所内のレクレーションで「男と女」が上映されているのを服役者が観ていたことがわかるのだが、自分の映画の中に、過去の自分の作品を劇中劇に使うかね~。しかも抜き出した場面選択がちょっと・・・まあとにかくこの映画で私の恋愛観が変わるようなことはなかったが・・・。


映画で時間を無駄にしたなぁと思いながら、ちょうど良く煮詰まってきた夏みかんママレードにレモンの絞り汁を入れて味を調え、再度煮立ったところで火を止めた。そしてこれを使ってシフォンを焼いた。レシピは文旦シフォンと変わらないが、風味は異なる。レモンほど強すぎないがはっきりした酸味とみずみずしさ、それと微かな苦みのハーモニーと言ったらよいだろうか。


以前のシフォンコラムで、「『これはレモンの香りですか?』から始まる(なだいなだ氏)の著作」と書いたが、私の不十分な調査で間違い&勘違いでした。この場をもってお詫び申し上げます。真実は「白いぼうし」(あまんきみこ著)でした。冒頭の「これはレモンの香りですか?」のあとに続く言葉は「いいえ、夏みかんです」なのである。夏みかんシフォンは絵本好きのあのひとに捧げよう。今日、馬込の庭先になっている金柑(キンカン)見ながらそう思った。

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