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2005年1月30日

金沢へ行きたい!

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金沢へ行きたい!
金沢21世紀美術館へ行きたい!!
そしてジェームズ・タレルの「ブルー・プラネット・スカイ」を見たい!!!

もちろん直島の地中美術館にある同じ作品「オープン・スカイ」でもいい。

でも、越後妻有の「光の館」では満足できない。宿泊したにもかかわらずトリップできなかった。あの稜線がいけない・・・・・・。

1997年11月、私はエルサレムにいた。アンマンからヨルダン川を渡って入国し、パレスチナ自治区を通ってエルサレム入りした。イスラエルを訪れた最大の目的は、ダニ・カラヴァンの作品をみることだった。エルサレムに「ジョイント」というカラヴァンの作品がある(カラヴァンについては次回記事にします)。その作品をようやく見つけて感激し、長い間眺めた。そしてスケッチと計測を終えた。旧市街へ帰る途中、イスラエル博物館があった。ガイドブックにも載っていたので入ってみることにした。

Donald Judd, David Smith, Richad Serra, Alexander Calder などの現代アートの作家の作品が多くあり、中東の国であるイスラエルで西洋的な香りを感じた。イサム・ノグチの庭園があったりして、ちょっと驚いた。

庭のはずれを歩いていると、トンネル(幅1.8m、高さ2.1m)があった。潜り抜けると広くて白い部屋(床面10m×10m、天井高約6~7m)に出た。正方形の天井(10m×10m)には、天井よりふた回りほど小さい空(6.5m×6.5m)が、天井と同じ高さにあった。ジェームズ・タレルの “Space That Sees” という作品だった。

はしごに登れば、手が届きそうな青空!

最初はスクリーンにプロジェクタなどで投影しているのかと思ったが、天井に穴が開いているだけだった。ただし天井の厚みが感じられないようにである。日の光が差していたのにかかわらず、天井に穴が開いているんだということに気が付くまでずいぶんと時間がかかった。一応博物館に来たんだからと思い、この白い部屋を出て館内の展示を見て回ったが、 “Space That Sees” のことが気になって気になってしょうがない。展示の順路を走り抜けて館外へ出て、再び白い部屋へ入った。

エドワード・ホールの「かくれた次元」の付録に「遠近法の13のヴァラエティーに関するジェームズ・ギブソンの論文の摘要」が付いている。その摘要の中で、人はどのように遠近感を知覚するのかが13種類に分けて説明されている。これをあらためて読んでみると、このタレルの作品は遠近感が知覚できないように工夫されていることがわかる。知覚できるのは、空に雲があり且つ部屋を人が歩く場合で、天井と空との動きの早さの差が生まれるときに限られる。天井高さが6~7mなのは、6~∞の距離はピントが全て同時に合うからである(人の目に近いと言われるカメラの50ミリレンズでの F8 の被写界深度を見よ)。又、視差による遠近感はこの距離であまり感じられなくなるからだ。天井面が10m×10mであることも、人間の目の画角から計算された大きさであろう。

“Space That Sees” の中で私はベンチに座り上方を見ていた。その間ココに立ち寄る人は少なかったが、空が赤く染まる頃、ユダヤ人の娘8人と引率の先生が入ってきた。彼女らはちょっとだけ空を眺め、そして私に踊りを見て欲しいと行って、「ターンタターンタ、ターンタターン・・・」と拍子をとって踊り始めた。

結局、夕方の閉館まで私はココにいた。

忘れられない一日となった。

※帰国後この作品のことを調べたところ、当時ニューヨークの美術コレクターの庭にこの作品と同じものがあることがわかった。それが今では日本に3つもあるのだ。
・川西町の「光の館」
・直島の「オープン・スカイ」
・そして金沢の「ブルー・プラネット・スカイ」である。

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カテゴリー:アート |  コメント (5) |  投稿者:hyodo

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