2004年11月の記事

1 2 3 4

2004年11月22日

クリスマスインスタレーション

22_0635_1.jpg

12月に参加するグループ展で、私は写真の出品のほかに、会場のインスタレーションをすることになった。グループ展のテーマがクリスマスなので、それをシンプルに表現するつもりである。もう世の中はクリスマスに向けて動いている。私がこの時期からクリスマスのことを考えたのは初めてだ。

予算があまりないので、協賛していただける方を探していたが、見つかった。私の高校時代の先輩が経営している田口巧芸さんである。偶然、私のクライアントから看板文字の相談を受け、田口巧芸さんのところへ打合せに行ってきたばかりだったのだ。私は例のごとくシフォンケーキ持参でお願いに伺った。そして快く材料を分けて下さった。この場でもお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

グループ展についてはこちらをご覧ください。

タグ:,

カテゴリー:アート |  コメント (3) |  投稿者:hyodo

2004年11月20日

自転車の写真

白金の自転車
今日は、ブログの写真の説明。自転車シリーズは散歩の途中で気になったもの。自分でも驚くほど撮っていた。無機物だけど以外に表情がある。

タグ:

カテゴリー:写真 |  コメント (2) |  投稿者:hyodo

2004年11月19日

草間彌生のデミタスカップ

19_0776_0004.jpg

ときどき、エスプレッソを入れる。カフェ・ナポリターナで入れる。豆はカルディーのアイスブレンド。確か200g430円。確か豆を挽く粒度は5番。火にかける。お湯が沸く。ポットをひっくり返す。お湯がフィルターを通る。コーヒーが落ちる。全部落ちる。ポットに溜まる。草間彌生のデミタスに注ぐ。

—————————————————————–
ある日、母から携帯に電話がかかってきた。
「もしもし」
「あんた、ちょっと」と母。
「どう思う?」
「何が?」
「コーヒーカップ!」
「何?今ね忙しいんだけど」
「草間さんの」
「何のこと?」
「あるのよ」
「・・・・・」
「1脚3万なんだけど・・・」

ようやく話が飲み込めてきた。そこでたずねる私

「で、エディション付いてるの」
「エディション?150脚限定でちゃんと番号がついてるのよ」
「そう、だからそれのこと。それがエディションだって」
「それでね今3種類あるの。どれにしようかしら?」
「さあね。全部買えば」
「そうね。そうよね、そうすればいいんだわね」電話切れる。

そうして母は本当に全部買ってきた。
それらは白地に赤い網目のカップ、黒字に白玉すだれのカップ、黄色地に不規則な黒水玉のカップの3脚であった。

—————————————————————–
デミタスに砂糖をたっぷり入れる。ちょっとだけかき混ぜる。少し飲む。全部飲む。溶けかけの砂糖がカップの底に溜まっている。スプーンですくう。なめる。これが旨い。

タグ:

カテゴリー:アート |  コメント (7) |  投稿者:hyodo

2004年11月18日

オレの勝負服!!

18_0795_0002.jpg

私はひとり寂しく建築設計の仕事を自宅でしている。その場合の仕事着(と言っていいのかどうかはわからないが)は、襟付きのシャツにアウトドア系のパンツである。シャツは極めて普通であるので、ここではあまり取り上げないことにする。問題はパンツである。なぜアウトドア系かというと、大抵、腰紐やベルトが一体となっておりベルトを通す必要がなく、椅子の上で片足だけ正座したりあぐらかいたりするのに、動きやすいからである。ただし見栄えはあまり良くない。そのパンツの中にグレーのクライミングパンツがある。素材が合成繊維なので、軽く洗濯してもすぐに乾く。私は結構気に入っている。

独立する前に勤めていた設計事務所に行くときもそのクライミングパンツを穿いて通勤することがあった。その日、私はグレーのMUJIのシャツとそのパンツで、上下ともにグレーという出立ちだった。私より若い女性スタッフ2人にその服装について指摘を受けた。

「hyodoさん、その服装相当ヤバイです」
「え?そう?どうせ一日中事務所だからいいじゃん」
「でも、出会いがあったらどうするんですか?」
「絶対にない」
「出会いはなかったとしても、知り合いの女性に会うかもしれませんよ」
「それもない。今日もひとりも会わなかった」
「どうやら私たちは女性じゃないみたいね・・・」
私は形勢の不利を感じ、その場を取り繕おうとした。
「これがオレの勝負服なの!」

ことばを発したとたん、更に落ちていくのを感じたが、もう手遅れだった。「勝負服!」「勝負服!!」それ以降そのパンツを穿くたびに馬鹿にされるようになった。

独立後すぐにヘアサロンの店舗設計をする機会があった。工事が無事終わり、開業前の準備を手伝いに行った。私は軽トラックでプラチナ通りのその店に乗りつけ、荷物の上げ下ろしをした。店内にはWさん夫婦のほかに女性スタッフが2人いた。みんな小奇麗な実にヘアスタイリストらしい服装で、シャンプーやカラー材などの色鮮やかなパッケージを運んだり、並べたりで忙しそうだった。荷物の搬入が終わり、W氏は私をスタッフに紹介した。

「えーと、この人がこの店のデザインをしてくれたhyodoさん」
「えっ?(運送業者か引越し業者かと思ってた)」
と聞こえた。彼女たちはそれまで、私に荷物を置く場所を指示していたので、少しバツが悪そうだった。ようやく同じ立場の人間として扱ってもらえた。その日も私はグレーのMUJIのシャツと例のパンツという格好だった。

サリンジャーの「ゾーイー」という小説の中で、ゾーイーの母親ベシーが着ているキモノの家庭着の描写がある。キモノなのに特大ポケットが付いていて、更にその中には煙草、金槌、ナイフ、蝶番などがはいっており、とにかく見苦しい。それを何とか捨てさせようと、娘たちが画策したりもしたが、未だにそれは実行に至っていない、という場面のことである。

先日、この小説を読んで、大いに共感するところがあった。私はベシーとそのキモノを応援し、未来永劫を祈った。しかし、もう少し服装に気をつけたほうがいいかもしれないと初めて思った。

タグ:,

カテゴリー:雑記 |  コメント (4) |  投稿者:hyodo

2004年11月17日

ベルリン・天使の詩

17_0290_4.jpg

昨日もう1本ヴェンダースを観た。「パリ、テキサス」が映像主体に構成されているのに比べ、こちらはことばをひたすら紡ぐといった感じである。延々とささやくように語られるドイツ語を字幕で追うのは辛かったが、書きとめたくなる様な台詞が数多くあった。母と観ていたので、いちいち書きとめなかったが、それでもいくつか覚えているのを揚げてみると「人間いちどは真剣になる」とか「満月でなく、新月の日に決める」などなど、心に響くことばで溢れている。

もちろん映像も良い。図書館、ベルリンの壁際、軌道の下、サーカスの広場など、ロケ地選定のセンスが、今の若手風景写真家に影響を与えているだろうし、空中ブランコの女の寂しげな様子はホッパーの絵のようだ。

他にもいろいろと楽しめた。ニック・ケイブが出演。歌っていた。若い。夏にペテルブルグに行った時にオクチャープリスカヤ近くの劇場でポスターを見かけた。「まだ活動しているんだ、しかもロシアでライヴなんて」と思ったが、今、HMVで調べてみると、コンスタントに活動しているのだった。コロンボが出演している。カサヴェテスの「こわれゆく女」を見たときにシリアスな役を演じるピーター・フォークに驚いた記憶がある。ここではピーター・フォークとして出演し、撮影のためにベルリンを訪れているという設定である。安次郎、フランソワ、アンドレイに捧げると最後に字幕が出た。アンドレイ・タルコフスキー?実は観たことない。今度観てみよう

更に何かないかと思ってキネ旬DBを調べてみると、ちょっとした発見があった。「東京画」はヴェンダースっだったんだ。なるほど小津リスペクトの理由がわかった。主役の天使役ブルーノ・ガンツはこないだNHK-BSで観たアイルランド映画「春にして君を想う」でも天使役を演じていたっけ。などなど、ブログのために少し調べてみて勉強になった。

タグ:,

カテゴリー:映画 |  コメント (9) |  投稿者:hyodo

2004年11月16日

パリ、テキサス

16_0492_5.jpg

ヴェンダース、1984年。以前「WRITTEN IN THE WEST」というヴェンダースの写真集を青山のABCで見かけた。私は一目で気に入ってしまったが、その場で買わずにメモして Amazon で注文した。安く買うことが出来たが、その結果、ABCは倒産した。すまないことをした。ABCは再スタートしたようなので、これからはABCで購入しようと思う。

その後、その写真集は「パリ、テキサス」のイメージ集であることを知る。仕事の先輩からはたびたび薦められていたが、忙しくてなかなか見る機会がなかった。先日近所のレンタルショップで見かけたので借りてみることにした。

美しい映像に引き込まれ、あっという間に時は過ぎた。舞台は乾燥地帯だと思われるが、「青いパパイヤの香り」や「花様年華」を観たときのような湿度を感じた。小津のカラー作品も思い浮かべた。どのカットもきまっている。何度も観ることが出来る映画とは、プロットが単純で意識させない、情感や映像の印象が残る作品だ。この映画はそういう作品だと思う。出会えて良かった。

タグ:

カテゴリー:映画 |  コメント (3) |  投稿者:hyodo

2004年11月15日

ティルマンスのコンコルド

赤羽の自転車
先週、ヴォルフガング・ティルマンスという写真家のインスタレーションを観た。スタジオヴォイス誌等で繊細な印象のポートレイトや静物は以前より知っていたが、写真集が欲しいとまでは思わなかった。が、99年、私は写真集「Concorde」を六本木のABCで衝動買いした。私は写真集を衝動買いしないが、前年にリージェントストリートのおもちゃ屋で買ったブリティッシュ・エアウェイズのコンコルドのキャストモデルを従弟にプレゼントしてしまったことを残念に思っていて、それがトラウマになっていたからかもしれない。

「コンコルド」の内容は説明はしないが、これを買った直後のBT99年6月号にティルマンスのインタビュー(とてもすばらしい内容)が載っていて、そこで初めて彼の写真の展示方法(インスタレーション)を知った。その方法だが、写真は壁にさまざまな高さ、間隔で配置され、大きさも普通のL判から3畳敷き位まであり不ぞろいである。しかも原則額装されずに紙のままメンディングテープで留められているか、シルバーのダブルクリップ+虫ピンで壁に固定されている。このシンプルな方法により、4つの良い効果が認められた。

  1. 離れて観た時に配置そのものが作品となっている。
  2. 作者は作品をまとまりや流れとして見せることができる。
  3. 通常写真は展示の際に、額・マット・写真のフレーミングという順に3回も切り取られる。それらにより作品がぼやけてしまうのを防いでいる。
  4. 観客は壁に対してリニアに移動せず、上のほうに展示された作品を見るために壁との距離を調節するため蛇行する。そのため展示室を見回したときに観客が一列に並ばずにばらつき、美しい配置となる。

思っていた以上に魅力的な展覧会だった。「コンコルド」のインスタレーションも観ることができ満足だった。ただし、展覧会のカタログ、BT04年11月号の特集共に、ティルマンス論の内容に不満が残る。

タグ:,

カテゴリー:アート, 写真 |  コメント (12) |  投稿者:hyodo

2004年11月の記事

1 2 3 4